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大乗仏教の誕生

 日本に伝えられた仏教を大乗仏教といいます。それまでの仏教を大きく
変革した革新的な仏教です。日本に仏教が伝わったときは、それが
ブッダの説を変革した仏教だとは考えませんでした。

 仏教が生まれたインドでは、4世紀ころから衰退が始まり、
13世紀には完全にインドから姿を消してしまいます。
そのため、昔のインド仏教の姿は、簡単には分からない状況です。

 大乗仏教がいつどのようにして誕生したのかは未だに不明ですが、
だいたい紀元前後に初期大乗が出来たと考えられます。
『般若経』『法華経』『華厳経』『浄土三部経』など、日本で有名な経典は、
この頃に誕生しています。
大乗仏教では、菩薩という考え、自分の悟りよりも他人を救済する
(自利よりも利他)が強調されるようになります。

私個人のイメージですが、武道に例えてみると、

初期の仏教は、道場において達人になることを最大目標とし、
一般人にも護身法などを教えていたというイメージです。
一般人に法を教えることは、達人になるための重要な修行です。
希望者は、原則、誰でも教えを学ぶことができます。

一方大乗は、武道によって世の人々の安全を守ることを最大目標とし、
世のなかの人を守るために、達人を目指して修行する感じです。
 どちらも達人になろうとしていますし、世の人々を助けようとしているので、
似たようなものと考えることもできます。

 しかし世の救済を第一に考える大乗では、人を守るための新たな方法を
次々と生み出すようになります。
 人々の安全を守るときに、ただ素手で守るより、防衛用の武器や
避難用の車など、さまざまなツールを使った方が守りやすいでしょう。
 護身法を教えるだけでなく、防犯ブザーや防弾チョッキを着けた方が
安全かもしれません。

 そんな感じで、大乗仏教には、初期仏教にはない、さまざまなツールが
採用されます。
 観音菩薩、弥勒菩薩、文殊菩薩、薬師如来、阿弥陀如来など、
多くの仏さまが登場するのも大乗仏教になってからです。
 極楽浄土などという素敵な世界もできあがります。

 初期仏教や部派仏教※1では、覚りを得た人は、涅槃に往き、二度と
この世に生まれ変わらないと考えるのに対して、
 大乗仏教では、覚りを得るレベルになっても涅槃に往かず、菩薩として
この世に生まれ変わり、世の人々を救い続けると考えます。

チベットのダライ・ラマは、今14世となっていますが、これは生まれ変わった
菩薩を表しています。(ダライ・ラマは観音菩薩の化身です)

 大乗仏教では、「空」や「唯識(深層心理)」など、新たな思想や理論を
生み出し、衆生を救済する宗教であるとともに、東洋哲学としても
発展していきました。
 『般若心経』などでよくいわれる「空」という思想を、「ナーガルジュナ
(龍樹、龍猛)」という人がまとめて、中観派というグループの祖となります。

ブッダや部派仏教では、「空」とはあまり言わないのですが、
大乗仏教では、「空」は中心的な思想となっていきます。


※1 大乗仏教以前の仏教は、原始仏教、初期仏教、根本仏教、
   部派仏教など、いろいろな呼び方がされている。
   明確な区別はないが、ここでは、次のように区分している。
      根本仏教:ブッダ本来の仏教
      初期仏教:部派に分裂するまでの仏教
      原始仏教:部派に分裂するまでの仏教~初期の部派まで
      部派仏教:20以上の部派に分裂した仏教

根本仏教や初期仏教は、もはや宗派として存在していない。
部派仏教のひとつ分別説部がスリランカに伝わり、現在まで存続している。
現存する仏教は、上座部仏教、テーラワーダ仏教と呼ばれている。
初期の部派を色濃く引き継いでいるが、当時の部派とは異なる部分もある。

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