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密教の誕生

 大乗仏教のなかで、後期に発展したものを密教といいます。
密教とは、後期大乗仏教のことです。密教は、思想や理論は、
それまでの大乗仏教と大きく異なるわけではありません。
しかし修行法は大きく変わりました。

 密教では、マンダラという仏が描かれたものを使います。
マントラ(真言)を唱えます。護摩といって火を焚きます。
これらのものは、基本的にはブッダが認めなかったものです。
火を焚いたりマントラを唱えるようなことを、ブッダは否定していたわけです。

 それにも関わらず、密教では火を焚いたりします。なぜでしょうか?
それは、その方が、より簡単に早く覚りを得られると考えたからです。
密教が発生した理由のひとつは、早く覚りを得ることです。

 それまでの大乗仏教では、この世に生きている間には、
ほとんどの人は覚りを得られなかったのです。
 それを、今生きているこの世で、素早く覚りを得て、
この世で幸せになろうとするのが密教です。

 そのために、瞑想を重視し、マンダラ、火、真言など、さまざまなツールを
使って、効果的に瞑想できるようにしたのです。
 密教では、今生きているこの世で幸せになる、幸せに過ごす、ということが
強調されます。
難しい修行を延々と続けなければ、幸せになれないというのでは、
密教的には困るわけです。

 密教が今残るのは、日本とチベットの密教だけです。チベットの状況は、
最近やっとニュースなどで流されるようになってきたので、
ご存知の方も多いと思います。

一般に、日本に伝えられた密教を中期密教、チベットに伝えられた密教を
後期密教といいます。
この連載では、日本の密教を中心にしますが、必要に応じて
チベット密教も取り上げます。

---次回は 「日本仏教の誕生」 金曜日発行予定です。---

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