仏教瞑想特別講座 2
上座部仏教編
伝統を重んじる上座部仏教(ミャンマーなどの南伝仏教)では、
初期仏教の経典を中心とします。
瞑想においては、『大念処経』(マハーサティパッターナ・スッタ)や
『出入息念経』(アーナパーナサティ)は、やはり重要です。
一方で上座部仏教では、新たな瞑想法を生み出して来ました。
現在の上座部仏教では、5世紀にブッダゴーサが著した『清浄道論』が
重要な経典となっています。
瞑想もこの経典を論拠として考えているところがあります。
最近では、「ヴィパッサナー瞑想」を重要戦略商品のような感じで、
世界に広めています。
初期の経典には、サマタとヴィパッサナーという言葉があり、
漢訳では、「止観」となっています。
サマタ(止)は精神の集中力、ヴィパッサナー(観)は、
洞察力(洞察智)を意味します。
初期経典には、「ヴィパッサナー瞑想」という名前では出てこないのですが、
ブッダの瞑想法の独自性は、「ヴィパッサナー(観)」にこそあるので、
非常にうまいネーミングだと思います。
「ヴィパッサナー瞑想」のなかにも、流派のようなものがあります。
日本で経験できるものとしては、マハーシ長老が考え出した方法と
ゴエンカ氏が広めている方法が有名です。
最近は、パオ・メソッドという別の方法を指導している人もいるようです。
これらは、『大念処経』や『出入息念経』に書かれている方法を、より分かり
やすく取り組みやすいように再構成したものと、考えることができます。
これに対して、「伝統を重んじているのに経典の教えを変更している」という
批判もあります。確かに「ヴィパッサナー瞑想」は初期の経典そのものでは
ないのですが、その意図するところは引き継いでいるので、個人的には
このような変化は、多くの人の益になることだと考えています。
ただ私が知る限り、どこの流派も「ヴィパッサナー瞑想こそブッダが考えだした
瞑想法です」と説明するので、今のやり方を2,500年前から続けていると、
勘違いしている人が多いように思います。
マハーシ長老は1900年代の方ですから、当然その瞑想法は
1900年代に考えられたことになります。
現代人に合った新たな瞑想法を考え出されたということは、とても
素晴らしいことであり、それはブッダの教えの基に生み出されているの
ですから、それはミャンマー上座部が世界に誇れることだと思います。
ゴエンカ氏の瞑想法は、サヤジ・ウ・バ・キン氏から受け継いだとの
ことですが、これも、四念処を見事に簡略化しています。
ゴエンカ氏の瞑想法は、最初は10日間の合宿が前提ですが、
世界40カ国以上で実施され、かなりの成果を出しているようです。
瞑想をマスターするという観点からすれば、10日間というのはあまりに
短い期間ですが、それでもそれなりの成果を出しているのは、
短期間用にまとめられたプログラム構成が優れているからでしょう。
日本では今まで、禅宗の坐禅以外には仏教瞑想に触れる機会が
ほとんどありませんでした。
このように瞑想に触れる機会が増えていることは、
大変喜ばしいことだと感じています。
--- 次回は 「 密教瞑想法 」 ---
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