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企業のコーチング研修が、現場で使えないのはなぜ?

企業内でのコーチング研修を、自分でもやりますし、他人がやるのを見たりしますが、研修でやったことが、現場で使えないという人をよく見ます。

コーチング研修といっても、千差万別で内容はそれぞれ全然違うと思うのですが、現場で使えない理由を考えてみました。

その理由のひとつに、現場ではコーチングが使える関係が出来ていないことがあげられます。

コーチング研修では、傾聴、質問、褒める、フィードバック、などの練習をよく行います。
いきなり上手く出来るものではないのですが、それでも研修の場では、何とかコミュニケーションが成立しています。
それは、参加者の中に、ここがそういう場だという共通認識があるからです。

しかし、現場に戻るとそうはいきません。
現場の人達には、「私はあなたのコーチを受けます」という前提が存在しません。
場合によっては、「あんたには、とやかく言われたくない。ウザイから黙っててくれ」なんて思われていたりします。
そんな状況で、下手に褒めたり、質問したら、逆に反感をかいます。

そもそもコーチングというのは、自発的に何かをやろうとしている人を、心理的に支援するというのが始まりです。
ですから、自発性の低いところに、下手にコーチングを持っていくと逆効果にすらなりうるのです。

ブリーフ・セラピー(短期療法)から生まれた、ソリューション・フォーカス・アプローチは、このような状況においても有効であるといえます。

なぜなら、セラピーというのは、もともと自発性の低い人を対象にしているからです。
親が無理やり連れてきた登校拒否の子供や、ただ授業に出たくないから来ているだけの生徒、何かあったらセラピストを悪者にして、自分がやらないことを正当化しようとしているクライアントなどに対処することは、セラピーやカウンセリングでは当然のことなのです。

そして、そのようなクライアントでも、自分がやりたいこと、なりたいものに気づき、それを実現する方向に動き出すことを、ブリーフ・セラピーはサポートします。

ソリューション・フォーカス・アプローチは、そのような過酷な状況の中で見出された手法ですから、自発性やモチベーションの低い社員に対しても、充分に使うことが出来るわけです。

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