ブログ大乗仏教

布施波羅蜜

布施は、3つに分けられます。
1) 財施:金品の布施
2) 法施:真理、法を教えること布施
3) 無畏施(むいせ):恐れを除き,安心を与える布施

お寺や僧侶に渡すお金のことを布施と思っている人が多いとようですが、
大乗仏教では菩薩としての修行のひとつなのです。
出家、在家を問わず、実践する修行なのです。
布施は、一切の見返りを求めないことが大切です。金額は関係ありません。

在家の方は、サンガ(僧団)や僧侶に布施することで、
大きな功徳があると言われています。
本来僧侶は布施を頂いても、お礼を言うことはありません。
上座部の僧侶は今でもそうです。
お礼など無関係に自らの心にしたがって行なうのが布施なのです。

布施を修行と考えるならば、お礼など言わない姿のほうが相応しいでしょう。
相手の対応で出したり出さなかったりするのは、本来布施とはいいません。
なんらかの見返りを期待しないで手放すのが布施の本義だからです。

本来、僧侶は一切の所有を放棄しており、働くことはありません。
布施がなければこの世で生き続けることはできません。
僧侶に布施することが功徳を積むことになり、自らの幸福につながると信じている、
インドや東南アジアの国々では、このシステムが機能します。

しかし日本では、このシステムは機能していません。
寺院を維持していくのは結構お金がかかります。
重要な文化財などあれば、なおさらです。

さらに、今の日本僧侶は家族がいますので、家族を養い、
子供に教育を受けさせる義務があります。
ブッダは、僧侶は働いてはいけないと言いましたが、
日本の現状では働かざるを得ません。

檀家や観光客の多いお寺なら、ある程度のお金は集まるでしょうが、
そうではないお寺もたくさんあります。
お寺としては、葬儀や戒名、お盆・お彼岸などの檀家回りなどで、
収益を上げていかざるをえません。

大乗仏教の僧侶は、六波羅蜜の修行として、法施や無畏施を行ない、
財施を頂いて命をつなぐというのが、もともとのあり方でした。

そのように生きたいと思っている僧侶も結構いるようですが、
現実はそうはいかないことが多いようです。

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大乗仏教の修行法 ~ 六波羅蜜

ブッダや部派仏教の修行法として、八正道を以前ご紹介しました。
それに対して、大乗仏教では六波羅蜜(ろくはらみつ、ろっぱらみつ)という
修行法が、基本となりました。

六波羅蜜
1.布施波羅蜜: 布施すること
2.持戒波羅蜜:戒律を守ること.
3.忍辱(にんにく)波羅蜜:苦難に堪え忍ぶこと.
4.精進波羅蜜:たゆまず仏道を実践すること.
5.禅定波羅蜜:瞑想(めいそう)により精神を統一させること
6.般若波羅蜜:般若とは覚りの智慧のこと

伝統的な仏教からみても、格段に変わっているわけではありません。

布施というと、お寺や僧侶に渡すお金のことと思っている人が多いとようですが、
大乗仏教では菩薩としての修行のひとつなのです。

「般若波羅蜜」は別格で、1~5の修行を経て、最終的に「般若波羅蜜」に
達するという風にとらえられています。

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仏性(如来蔵) 2

初期仏教は、心を苦や不浄に満ちたものと扱います。
大乗仏教(密教)では、こころを清浄なもの(仏性)として見ます。

初期仏教も大乗仏教も、ありのままに見ることを標榜しているのに、
この正反対の見方はどこから来るのでしょうか?

初期仏教では、衆生の立場から、この世界(主に心身)にまつわる現象を、
事実のままに見ようとします。

この立場に立てば、私達は煩悩にまみれ、世界は苦や不浄に
満ちていることになります。
そして苦や不浄のない世界(涅槃)に往くことが、目指すべきところとなります。

しかし初期仏教では、涅槃に往くとどんな世界があるのか語ることはありません。
ひたすら苦と不浄を説き、その否定形(解脱)として涅槃を語るに留まります。

一方大乗仏教(密教)では、仏(覚り)の立場から、この世界(自然、宇宙)の
真理を、そのままに見ようとします。
仏(既に覚りを開き苦のない人)の立場から見れば、この世界は楽であり、
清らかです。

したがって大乗仏教では、覚りの世界がいかに素晴らしいものか、
仏の功徳がいかにすごいものであるかを、説きます。

いずれにせよ、心の不浄と清浄は、コインの裏表のようなもの。
衆生と仏、語る立場が異なるだけで、同じことを意味していると
考えることができます。

しかし、瞑想法や指導法、教義などは大きく変わっていくことになります。

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仏性(如来蔵) 1

大乗仏教に生まれた思想に、仏性(如来蔵)があります。
密教を説明するために、まず仏性(如来蔵)の説明をしたいと思います。

如来蔵とは、如来(仏)を胎に宿すものという意味で、如来蔵経に
「一切の衆生は如来を胎に宿している」と説かれています。

すべての人には、仏性(如来蔵)があり、そのため人々は菩提心を起こし、
悟りへ向かうことができると考えられます。
人々に悟りを得ようと発心する心が生じる理由として、そもそもそのような心
(仏性)があると考えることは、それなりに妥当性があるように思います。

しかし初期仏教では通常、このような心を前提にしませんので、
大乗仏教の革新的な考え方と言えるでしょう。

仏性の考え方は、その後次々と発展していき、初期仏教との違いは、
どんどん大きくなっていきます。
例えば、中国や日本では、草木成仏といって、草木にも仏性があり
成仏できると考えられるようになります。

また大乗仏教では仏性を強調する結果、人の心を清らかなものとして見る見方が
強くなっていきます。
もちろん人には、煩悩があり、それゆえ人は苦しむのですが、煩悩が
心の本質ではなく、仏性が心の本質であるという見方が出てきます。

初期仏教が、
「人の心は苦であり無常であるから、修行によって清らかになる」
という感じに対し、
大乗仏教は、
「もともと仏性があって清らかなのだから、それを修行によって呼び起こす」
という感じが強くなっていきます。

仏性論がさらに展開し、本覚思想になると、
「凡夫は凡夫のままありのまま現実を受け入れればいい」
という、修行不要論が生まれてきます。

本覚思想は鎌倉仏教の基となった天台宗で盛んになったもので、
鎌倉仏教にも大きな影響を与えています。

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般若心経 ~ 解説本 4

私見によれば、般若心経の解説本は、4種類に分けることができると思います。

1.個人の思想に合わせて解説したもの
2.仏教教理を基に独自の解説をしたもの
3.文献学的に心経作成時の意図を読み取ろうとするもの
4.我説のために部分的に利用するもの

例えば

1.個人の思想に合わせて解説したもの
物理学者が宇宙論や素粒子論で、般若心経を語ったり、個人の人生を
般若心経に照らし合わせて語るようなものです。
素人の見方が、逆に大衆の心をつかみ、ヒット作になることがあります。

僧侶でも、このような本を出す人がいますが、仏教界からは、
あまりいい顔をされないように思います。
僧侶は、正しく法を伝えるべき、という前提がありますから。

2.仏教教理を基に独自の解説をしたもの
独自ということでは、1と同じですが、仏教教理に基づいて
体系化されているものです。
代表的なのは、空海の『般若心経秘鍵』です。
これは、般若心経を密教の経としてみるものです。

宮坂宥洪氏の『真釈般若心経』(角川ソフィア文庫)なんかも面白いです。
空海とはまた違う、独自の密教観から般若心経を解説しています。
古いバージョンですが、
http://www.mikkyo21f.gr.jp/index.html
の「『般若心経』のほんとの意味」 に解説が出ています。

また般若心経は、いわゆるお経というより、陀羅尼や瞑想のツールとして
使われてきたようで、その観点から書いたものが、
『密教瞑想から読む般若心経』(越智淳仁著)です。
般若心経を使った瞑想方法などが書かれています。

3.文献学的に心経作成時の意図を読み取ろうとするもの
この立場は、独自の解釈を入れずに、般若心経作者に忠実になろうと
するものです。
これが難しいのは、まず、漢訳が複数あることです。
必然的にサンスクリットの原典にあたることになりますが、
語義というのは時代や文脈によって変わりますから、やはり
解釈の違いが生まれます。

『般若心経とは何か』(宮元啓一著)など、分かりやすいと思います。

4.我説のために部分的に利用するもの
これは、自分の主張を説明するのに都合のよい部分だけを
般若心経から引っ張ってきて、解説するものです。
「それは違うだろ」と思わず突っ込みたくなるような本もあります。

以上の分類は、私の独断によるものです。

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般若心経の秘密 ~ 2種類の解釈 3

空海は『般若心経秘鍵』という書を書き、そのなかで「チク・マンの真言を種子とす。
諸教を含蔵せる陀羅尼(だらに)なり」と書いています。

種子(種字)は、仏を表す文字で、瞑想に利用されるものです。
このことからも、『般若心経』が陀羅尼であり、瞑想のツールとして
使われてきたことが分かります。

般若経系の瞑想法(成就法)は、漢訳、チベット語、サンスクリット語
(インド語)を合わせると、30以上見つかっています。
種子、真言、陀羅尼などを使った瞑想は、インドにおいて広く行なわれていたと
思われます。

在家者も、出家者のような高度な瞑想は行なわないにしても、
真言を唱えるなどの瞑想は、行なっていたと考えられます。
『般若心経』は、一般在家の人にも手軽に唱えられる陀羅尼として、
広く親しまれていたのでしょう。

ある脳研究では、読経には瞑想と同じ効果があるとされています。
瞑想によって分泌される「セロトニン」などの脳内物質が、読経によっても
確認されるとのことです。

これは意味を考えないで読む方が良いようです。
意味を考えながら(思考を働かせながら)だと瞑想効果は低くなるようです。

意味は分からなくても構わないので、一心に『般若心経』を唱えてみてください。
瞑想の功徳(即ち仏の功徳)があることでしょう。

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般若心経の秘密 ~ 2種類の解釈 2

『般若心経』の2種類の読み方の続きです。

顕教の立場では、『般若心経』の「心」を心髄という意味にとります。
『大般若経』の心髄をまとめたものを『般若心経』と考えるわけです。

「心」はサンスクリット語では、「フリダヤ」となります。
密教の立場では「フリダヤ」を心真言と解して、最後の真言こそ
『般若心経』のポイントだと考えます。

おそらく、『般若心経』の成立過程としては、『大般若経』の心髄をまとめた
というのが実際であり、その意味で「空」を説く経典であるという見方は
正しいと思います。『般若経』は「空」を中心とする経典群だからです。

しかし『般若心経』が実勢にどういう使われ方をしてきたかと言えば、
瞑想のツールという見方の方が適切だと考えます。
『般若心経』はあまりに簡略化されていて、「空」の解説としては、
もはやその体を成していません。

経典には一定の形式がありますが、『般若心経』はその形式も満たしていません。
サンスクリット本には、経典のタイトルもありません。
『般若心経』というタイトルは漢文に独自につけているもので、
宗派によって、
「般若波羅蜜多心経」「摩訶般若波羅蜜多心経」「仏説摩訶般若波羅蜜多心経」
など、タイトルも異なります。

読誦することにより効力を発揮する文言として「陀羅尼(だらに)」というものが
ありますが、『般若心経』は「陀羅尼」として利用されてきたというのが
実情ではないでしょうか。

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般若心経の秘密 ~ 2種類の解釈 1

日本では伝統的に、『般若心経』に2種類の解釈があります。
ひとつは顕教の読み方、もうひとつは密教の読み方です。
密教的読み方を日本で始めて主張したのは、空海です。

『般若心経』は、大きく二つの部分に分けることができます。
前半と後半では、かなり内容が違います。

前半は、「色即是空」に代表される「空」と「無眼耳鼻舌身意」など
「無」のオンパレードです。
後半は、功徳を並べたて、真言(マントラ)を唱えて終わります。

顕教的な読み方では、前半の「空」と「無」を重視し、
『般若心経』は「空」を説いた経典であるとします。
『般若心経』の価値を、特に前半の部分に置き、後半のマントラ(真言)
のようなものには、あまり価値を置きません。

浄土真宗さんが『般若心経』を唱えないのも、真言(マントラ)と
浄土真宗さんの教義が合わないからだと思います。

それに対して、密教では、むしろ後半の部分にこそ『般若心経』の
価値を見出します。
真言こそ、『般若心経』が伝えたかったエッセンスだと考えます。

つまり、『般若心経』は空を説いた経典(解説書)ではなく、真言を使った
瞑想のツールであるというのが、空海に始まる密教サイドの見方です。

僧侶や学者が書いた市販の本も、どちらの立場から書かれたものかで、
内容がかなり違ってきます

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般若心経の秘密 ~ 般若心経の誕生

『般若心経』は最も人気のあるお経と言っていいでしょう。
日本の伝統宗派のなかで『般若心経』を全くとなえないのは、
浄土真宗さんなどごく少数ではないでしょうか。

それくらい有名なお経ですが、他の大乗経典同様、いつ、どのようにして
作成されたのかは分かっていません。

書店に行くと、僧侶、学者、一般愛好家など、さまざまな人が般若心経本を
出しています。
学問・哲学の観点と宗教・心の平安の観点は、必ずしも同じではないので、
その人なりのいろいろな解釈が生まれてくるわけです。

『般若心経』は、『般若経』と言われる多くの経典群の中から、
エッセンスだけを取り出して短くまとめたもの、というのが通説です。

般若経群をまとめたものとしては、『大般若経』というのがあり、
500万字くらいの長さになります。
『般若心経』には、小本と大本の2種類がありますが、日本でよく
読誦されている小本は、300字にも至りません。

『般若経』は、大乗仏教の一番初期のころに作られ始めたもので、
部派仏教の最大勢力である「説一切有部」の思想を
批判する内容になっています。

したがって、「説一切有部」の思想を知って『般若心経』を読むならば、
なぜあのような記述になるのか、よく分かるのです。
いまさら、もはや存在しない「説一切有部」の思想を学ぶ人も少ない
でしょうから、『般若心経』だけを読んで、ますます分からなく
なっていくということはあると思います。

そもそも、『般若心経』はエッセンスだけを取り出したものなので、
そのなかには解説がほとんどありません。
だから、『般若心経』だけをひねくり回しても意味が分かるはずもなく、
勝手な解釈が横行することになります。

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空とは何か ~中観派~ 3

ブッダは、「一切」という言葉を、五蘊(心身)のことを意味して
使っています。
それ以外のことは、「一切」のなかに入らないのです。

しかし大乗仏教では、「一切」を宇宙全体にまで広げていきます。
「一切が空である」というとき、大乗仏教の世界観でいえば、この宇宙全体の
存在のあり方が、無自性であるということを意味しています。

そしてすべての事物は縁によって互いに関係し合うことによって、
存在していることを意味しています。
 
「空」の概略はそういうことなのですが、仏教では、人の生き方の問題に
関わっていきますから、説法や法話などでは、

「人というのは、自分ひとりで生きているのではないのです。
 ご両親をはじめ、多くの方々とのご縁によってこの世に生まれ、
 存在できるのです。これをお釈迦様は「空」とおっしゃられました。」

などという話になるわけです。

仏教を東洋哲学として語れば、「空という存在論や認識論」という話に
なるのですが、それでは、心の平安につながりません。
頭が痛くなるだけです。

宗教としての仏教は、人を救う話にしなければなりません。
それは哲学的な話とは、違うものなのです。

哲学的な話(学問)と、宗教的な話(心の救済)を同列に並べて語ると、
話はますます混乱していきます。

世にある多くの「空」に関する書籍も、どのような立場から書かれた
ものなのか、理解しながら読むと、より正確に理解できると思います。

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