経営品質/組織変革

組織変革 / 組織品質向上 4

組織変革/ 組織品質向上 Q&A

組織変革や経営品質活動に対する、疑問を集めました。

Q.
以前、QC活動に取り組んだのですが、経営品質活動は何が違うのですか?
A.
QC(クオリティ・コントロール)活動は、小集団活動などを通じて、職場を自主的に改善していく活動です。
経営品質活動は、企業活動全般を社員が自主的に改善・改革していく活動です。

Q.
品質管理では ISO9001 が有名ですが、経営品質活動と何が違うのですか?

A.
ISOは、品質に関する国際的な規準が規定されており、その取得を目指します。

経営品質活動では、自社に必要な基準は、自分たちで決定します。例えば、社員1万人の大企業と、社員数名のベンチャー企業では、経営に求められる基準が全く異なります。自分たちの会社に合った基準や仕組みを自分たちで考えて、自分たちで改革していくのが、経営品質活動です。

Q.
BSC(バランスド スコア カード)の導入を考えていますが、経営品質活動と、どちらが優れているのでしょうか?

A.
BSC(バランスド スコア カード)は経営のツールで、経営品質活動は、経営の考え方・あり方になります。ツール(DO)だけ導入しても、あり方(BE)が適切でなければ、変革は困難です。したがって、BSC導入を適切に行うためには、経営品質的な活動が結局は必要になります。
適切に導入すれば、
経営品質活動もBSCも、組織変革の役に立ちますし、両方導入している企業もたくさんあります。両方導入する場合は、経営品質活動から先に行うことが基本になると考えます。経営のあり方がしっかり出来ていれば、BSCの導入もスムーズに行きます。

Q.
経営品質が良いと聞いたので、
「日本経営品質賞アセスメント基準書」を読んだのですが、全然理解できません。どうすればいいでしょうか?
A.
「日本経営品質賞アセスメント基準書」は、経営品質を導入する基準になるものですが、経営品質活動を理解していない人が読んでも、理解することは困難でしょう。まず、入門書から読んでみるか、入門セミナーなどに出席することをお勧めします。

Q.
米国版と日本版のカテゴリーがあるようですが、どちらが良いのでしょうか?

A.
世界では50カ国以上で、
MQ(経営品質)が導入されており、それぞれ独自のアセスメント基準を持っています。その国なりの考え方を反映させており、どれが良いとは言えないと思います。国際的に活動するグローバルカンパニーの場合、国ごとに基準を変えて導入するケースと、企業内で基準を統一するケースがあると思われます。
受賞が目標であるなら、その国の基準を使う必要がありますが、企業変革が目標であるのなら、様々なアプローチが考えられます。

組織変革 / 組織品質向上 3

3.経営品質活動による組織変革
         

経営品質賞は、世界50カ国以上で導入されている国家品質賞です。
(日本は、国の表彰ではありませんが)
1990年代、アメリカが不況から脱出した時に、この賞が大きな役割を果たしたと言われています。(アメリカでは賞を創設した人に敬意を表わし
マルコム・ボルドリッジ国家品質賞と呼ばれています)。経営品質賞には、組織を変革し高い成果を出す秘訣が、たくさん含まれています。
なぜなら経営品質賞の目標は、パフォーマンス・エクセレンス卓越した成果)を出す組織になることであり、評価の基本は、組織の変革能力そのものだからです。


経営品質による改革は受賞が目的ではありません。経営品質の考え方を使うと、自分達のやるべきことが見えてくるため、変革を自分達で実行することが可能になります。
変革するには自分達が行うことが必要であり、人まかせでは成功しません。

経営品質は、自ら変革するためのプロセスと言うこともできるでしょう。

組織変革:組織品質を高める活動
組織品質活動は、組織変革のための、改善・改革活動です。
具体的な方法は組織によって異なりますが、基本的な流れを示します。

1.組織プロフィールの作成
組織プロフィールは、トップの考え方や想い、現状認識をまとめたものです。
自分達のやりたいことや、存在の価値が不明確な組織があります。
組織プロフィールをまとめることで、組織の進むべき方向性が明確になります。

2.組織のアセスメント実施
アセスメントは、組織の状況を正確に把握する作業です。
日本の経営品質賞では8つの分野から、米国版
経営品質では、7つの分野からアセスメントします。自社にとって適切なツールを使って、アセスメントします。
アセスメントを実施することで、組織の進むべき方向性と現状とのギャップが明確になります。
   <日本版8つの分野(カテゴリー)>
   1.経営幹部のリーダーシップ    2.経営における社会的責任
   3.顧客・市場の理解と対応      4.戦略の策定と展開
   5.個人と組織の能力向上      6.価値創造のプロセス
   7.情報マネジメント          8.活動結果      

   
<米国版7つの分野(カテゴリー)>
   1.リーダーシップ          2.
戦略の策定
   3.顧客・市場への対応        4. 経営分析とナレッジマネジメント
   5.人材への対応           6.プロセスマネジメント
   7.活動結果
      

3.重要ポイントの明確化とフィードバック
組織の進むべき方向性と現状とのギャップから、取り組むべき重要ポイントを明確にしていきます。
改善すべきポイント、さらに伸ばす強み、現時点で取り組むことなどを把握し、共通認識を持ちます。

4.トップ、メンバーへのコーチング
重要ポイントに実際に取り組み成果を出すために、組織のトップやメンバーをコーチしていきます。
組織変革というのは、新たなツールや仕組みを入れればそれで完成するようなものではなく、組織の風土や文化が変わってくることが必要です。そのためにコーチングも、相手の文化や背景、パラダイムなどを扱うことが必要になってきます。

多くの場合、これらの活動はプロジェクトチームを組んで行います。
この他組織の状況に応じて、教育研修やトレーニングなどが行われます。

組織変革 / 組織品質向上 2

2.組織変革のフレームワーク 

フレームワークは、ものごとをある観点から見ることで、いくつかの領域に分割します。フレームワークを使って組織を見ると、今まで見えていなかったものが見えてくるため、組織の変革に有効なツールになります。
ただしフレームワークは特定の観点だけを提供するので、他の観点が抜け落ちる危険性があります。フレームワークの意味を理解し、適切な時に適切なフレームワークを使うことが大切です。
 ここでは企業のタイプを示すバリュープロポジションと、組織を把握するための7S経営品質を紹介します。

★バリュープロポジション
「企業が顧客に提供する価値」という観点で、企業を3つのタイプに分けます。「業務の卓越性」「緊密な顧客関係」「製品の優位性」の3つのタイプがあります。いきなり3つとも高めようとすると、結局どれも中途半端になります。
自社が最も大切にしたい価値を明確にし、それを高めることが大切です。

タイプ 代表的企業 重要な活動
業務の
卓越性
デル・コンピュータ(Dell)
トヨタ自動車(TOYOTA)
セブンイレブン
優れた業務の仕組み・プロセスが、顧客に価値を提供します。競争力のある価格や品質、ラインアップを提供することが重要です。
緊密な
顧客関係

リッツカールトンホテル
ディズニーランド

ひとりひとりの顧客との緊密な関係が、顧客に価値を提供します。顧客別の特別サービスや個別の対応などが重要になります。
製品の
優位性
インテル(Intel)
本田技研工業(HONDA)
ソニー(SONY)
他社には無い製品やサービスが、顧客に価値を提供します。新製品開発や独自の機能を提供する能力が重要になります。


経営の7S
7S
は、マッキンゼー(戦略コンサルティング会社)が打ち出した、組織を見るフレームワークです。
7つに分類した頭文字を取って、7Sと呼ぶます。
7Sは、ハードの3Sとソフトの4Sに分かれます。

経営の7S

Strategy    (戦略)

ハードの3S
意思と力があれば、
変更することが可能。
ここにだけ眼を向けている変革が多いが、ココだけ変えても、変革は成功しない。

Structure   (機構)
System     (制度)
Style      (運営スタイル) ソフトの4S
力で強制的に変更することは難しい。
ビジョンや価値観などの方向付けをするとともに、継続的なコミュニケーションが必要になる。
ここが変わらなければ、変革は成功しない。
Skill       (技術)
Staff      (人材)
Shared Value(共通の価値観)


★経営品質 8つのフレームワーク
経営品質(MQ:マネジメント・クオリティ)では、組織活動を8つの領域に分けて見ていきます。
経営の7Sが、組織の構造や機能を見るフレームワークだとすると、
経営品質(MQ)のフレームワークは、組織活動の内容を中心に見ます。

<8つの分野(カテゴリー)>

活動プロセス 1.経営幹部のリーダーシップ
2.経営における社会的責任
3.顧客・市場の理解と対応
4.戦略の策定と展開 
5.個人と組織の能力向上
6.価値創造のプロセス
7.情報マネジメント
プロセスの結果 8.活動結果


カテゴリーの 1~7 は、プロセスや仕組みを見ます。
カテゴリーの 8 は、活動した結果を見ます。
成果主義と称して、結果しか見ない企業がありますが、それでは組織は良くなりません。
活動プロセスが適切に機能することで、継続的な改善が実現します。

組織変革 / 組織品質向上 1

1.組織変革はなぜ成功しない?

組織を変革しようという試みが、多くの企業や組織で行われていますが、成功しないケースをよく聞きます。
アサヒビールや日産のように劇的な変革に成功した企業もありますが、多くの企業は変革が進まないようです。
変革する気のない(必要のない)組織は別として、変革する気が充分あるのに変革できない組織があります。やる気だけでは変革できません。変革できる企業は、変革できる理由が存在します。理に反した行動を起こしても、変革は出来ません。

  1.手っ取り早く変革できる便利なツールを導入する。
  2.変革してくれるコンサルタントに任せる。

このような姿勢では、変革に取り組まない方がいいでしょう。変革は成功せず、余計な労力を使うだけです。その労力を、今の仕事に振り向けたほうが効果的だと思います。
変革には、自分自身が主体として取り組み、変革する立場を取り続けることが必要です。どこかで成功した手法を持ってきても、それだけでは機能しません。

組織の BE- DO- HAVE
Be(あり方)-Do(行動・スキル)-Have(結果)は、このサイトの基本的な考え方、観点です。                

BE 
(背景:コンテクスト)
組織のビジョン、価値観、企業文化など、組織のあり方を意味します。
組織がなぜ存在するのか、その存在理由を明確にし、そのビジョンを実現する文化を持つことが大切です。
組織の
BE(あり方)が、組織の変革能力のベース(基本)になります。

DO (中身:コンテンツ)
組織が持つ仕組みやプロセス、スキル、ツールなどを意味します。
もちろん仕組みやツールなどは大切なのですが、
BE(あり方)を無視して、DOだけ考えていると、努力の割りに成果が出ません。
例えばトヨタには「かんばん方式」という有名な仕組みがあります。
しかしこの仕組みだけ自社に取り入れようとしても成果は出ません。
企業のあり方がトヨタレベルの時、「かんばん方式」はトヨタ並みに活きてきます。
経営のツールも、あり方を変えないで、ツールだけ入れようとしているところは、なかなか成果がでません。
BSC(バランスド・スコア・カード)やナレッジマネジメントシステムなど、多くの素晴らしいツールがありますが、肝心の企業のあり方がなっていなければ、大きな効果は望めないでしょう。

DOが具体的な中身(コンテンツ)とすると、BEは中身を入れる器や背景(コンテクスト)になります。コンテンツにばかり注目して、コンテクストを創らないとパフォーマンスは上がりません。
ここでは経営品質を推奨していますが、経営品質もコンテンツ(ツール)として導入すると、その真価を発揮しないと思います。経営品質が組織のBE(コンテクスト)を創る時、経営品質の真価が発揮されることでしょう。


HAVE (成果・結果)
適切なBE(あり方)やDO(行動)が、HAVE(高い成果)を生み出します。
結果のフィードバックは重要です。
フィードバックを元にして、BEとDOは常に再創作していきます。
その繰り返しが変革のプロセスであり、ハイパフォーマンスを生み出します。
ハイパフォーマンスは、継続的に変革するプロセスそのものでもあります。

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