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このサイトでは、人材育成、心理学、コーチング、カウンセリング、メンタル・トレーニングなどの観点からブッダや空海を扱います。
私がブッダや空海を学んだ理由は、一般の方々の役に立てることを目的としたからであり、特定に宗派や信者のためではありません。
信者にならなければ役に立たないというのであれば、今の大多数の日本人の役には立たないでしょう。
そもそもブッダの考えは、「訳も分からんものを信じるな」というものです。
目指すものは、「智慧」だと言ったのです。
このサイトでは、仏教の原点 ブッダに立ち返り、真実を見抜く「智慧」の習得を目指します。
そして、「今生きているこの世において幸せにならずして、仏教の意味があろうか」 という空海の想いを受け、今幸せになるという密教の道を明らかにしていきます。
今、世界では、日本とは逆に仏教が広まっていますが、それは宗教ではなく、自己理解や心の修行法として受け入れられているところが大きいのです。
特に、ZEN(禅)、チベット密教(ダライ・ラマ)、ヴィパッサナー瞑想 の3つは、世界に大きな影響を与え、キリスト教徒にも受け入れられているところがあります。
日本は、宗教性を排除しようとするあまり、その内実に有る貴重なメソッドまで、無視しているように思えます。
(訳の分からないお経を聞かされたら、嫌になるのも分かりますが)
ここでは、そのような日本の状況を踏まえ、経営コンサルティング、HRM(人材マネジメント)、コーチング、カウンセリング、心理学などを学び実践してきた立場から、密教・仏教を取り上げ、現代における実践的活用を目指します。 【 橋本文隆 】
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なぜ今仏教なのか?
日本は仏教国と言われますが、仏教の内容を知っている人はほとんどいません。
知っているのはインドに生まれたお釈迦さん(釈尊)が始めたものということくらいでしょう。
ところが欧米では、意外と仏教が知られていたりします。ヨーガと並んで心身を磨く良いツールとなっているようです。
そのため、キリスト教徒でありながら仏教に取り組むということも可能です。
高野山に来る観光客を見ても、外国人が非常に多いのに驚きます。
諸外国でそれくらい高く評価されている仏教が、日本では、人が死んだら訳の分からないお経を唱えるだけのもので、
私たちの人生に直接関係のあるものとは、考えられていません。
せっかく仏教という偉大の遺産(文化)を持ちながら、それを活かしていない状況は大変残念に思います。
日本は昔から、自国の偉大な文化を軽視し、外国の文化にあこがれ、それを輸入することに熱心なところがあります。
そのため日本の文化が海外で評価されると、それを逆輸入するという形がよく見られます。
もしかしたら仏教にもそのような時代が来るかもしれません。
私と仏教との出会い
全く宗教に関心の無かった私が仏教に興味を持ったのは、コーチングを始めてからです。
コーチングとは、コミュニケーションを通じて心理的に人を支援し、目標実現やより良い人生の実現を助けるものです。
コーチングはアメリカから輸入されたものですが、やればやるほど、中身は昔から日本に有ったものだと感じました。
日本は昔から教育や人材育成に非常に熱心な国であり、コーチングと呼べるようなものは昔から随所に見られます。
ただしアメリカで発達したコーチングは、西洋心理学の理論を背景にシステム化され、論理的体系的にうまくまとめられています。ものごとのシステム化は、日本より欧米の方が一般的に優れているようです。
さらに、コーチング、カウンセリング、自己啓発セミナーというものを調べていくと、その元ネタが、仏教や密教の中に見つかるということが、いろいろ出てきました。西洋心理学で無意識が扱われるようになったのは、フロイト(1856-1939)以降ですが、仏教では約2,500年前から無意識を前提とした心の扱い方を考えています。
またカウンセリングなどの心理療法で使われる「フォーカシング」や「プロセスワーク(プロセス指向心理学)」では、身体の感覚やイメージを見ていきますが、それは昔からある仏教の瞑想法に非常に似ています。
私がコーチングなどに取り入れている「ソリューション・フォーカス・アプローチ」は、欠点を修正するのではなく、人の持つリソース(資源、使えるもの)を活かしていくという手法を取りますが、これは、仏教の発展形である密教の思想と一致します。
欲求5段階説を唱えたマズローは、自己実現の上にさらに自己実現を超えるもの(トランスパーソナル)を考えました。
ユングは、マンダラやタオなどの東洋思想を西洋心理学の中に取り入れて、心理を探求しました。ユングの流れを組むプロセスワーク(プロセス指向心理学)は、夢や身体をキーにして、トランスパーソナルな世界やスピリチュアルな世界を、見せてくれます。
ケン・ウィルバーは、インド思想やタオの思想などを取り入れながら、トランスパーソナルな世界につながる意識の世界を体系化しています。
このようなトランスパーソナルな世界やスピリチュアルな世界を理解していくうえで、仏教や密教は大きな力を発揮するものと考えています。 【 橋本文隆 】
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仏教とは何か?
仏教にはいろんな宗派がありますが、すべての宗派に共通するものは何でしょうか?
そのキーワードは、「ありのまま」 だと思います。
初期仏教には、「如実知見」という言葉があります。ありのままにものごとを見るということです。
大乗仏教には、「諸法実相」という言葉があります。実相とは、ありのままの本当の姿を意味します。
密教には、 「如実智自心」という言葉があります。ありのままに自分の心を知るということです。
私達は、様々な思い込みや色眼鏡で世界を観ています。過去の経験や体験に彩られて、主観的にものごとを観ます。
そのため主観と客観の明確な区別ができません。
例えば、ここでは緊張する必要はない、アガル必要はない、と思っても、緊張してしまうことがあります。
何かに失敗した後、終わったことを気にしても仕方がないと思っても、どうしても気になってしまうことがあります。
このように、自分の心や身体は、自分の思う通りになるものではありません。それは、様々な思惑や反応が自分の身に起こるからです。様々な思惑や反応が起こる時、如実(ありのまま)にものごとを観て、扱っていくことが出来なくなります。
仏教や密教は、その思い通りにいかない世界からの脱却方法を示しています。やり方は八万八千の法門と言われるように、たくさんあります。そのやり方のことを仏教では「方便」と言います。
自分に合った方便を通じて、仏教の心髄を身につけていただければ、大いなる喜びであります。
仏教のややこしさ(なぜ仏教はこんなにも複雑なのか?)
仏教は、お釈迦さん(ゴーダマ・ブッダ)の教えを始まりとしますが、その後歴史の中で、多くの流派(宗派)に分かれ、各宗派がそれぞれの教義を持っています。仏教が分かりにくい理由のひとつがこの宗派の多さ、教義の多様さです。
現在の仏教は大別すると、テーラワーダ仏教、大乗仏教、密教の三つに分けることができます。
テーラワーダ仏教は、上座部仏教、南伝仏教とも呼ばれ、タイ、ミャンマー、スリランカなどを中心に広がった伝統派の仏教です。以前は小乗仏教と呼ばれたこともあります。ゴーダマ・ブッダの時代の戒律を守るなど、初期の時代の仏教を色濃く残しています。
中国、朝鮮、日本に普及した仏教は、大乗仏教と呼ばれます。それまでの教義を革新的に変えていった仏教で、キリスト教でいえば、カトリックに対するプロテスタントに相当するかもしれません。中国は共産主義国家、朝鮮は儒教の精神が強く、日本の仏教の現状は、よくご存知の通りです。大乗仏教が国家や民族の基本精神として機能しているところは、非常に少ないと思います。
大乗仏教の中でも、後期に発達したものを密教と呼びます。これは、日本とチベットに残っています。日本には、空海を祖とする真言密教、最澄を祖とする天台密教があり、チベットには、また異なる密教があります。チベット仏教は、テーラワーダ仏教や大乗仏教から密教へ体系的に学ぶのを基本としています。
「テーラワーダ仏教、大乗仏教、密教」の違いは、「ユダヤ教、キリスト教、イスラム教」の違いと対比すると分かりやすいかもしれません。キリスト教とイスラム教はユダヤ教から発展してきましたが、基本的に同じ神を信じています。アラーもヤハウェも呼び名が違うだけで、同じ創造主です。ユダヤ教は、旧約聖書が聖典ですが、キリスト教は、旧約と新約の聖書が聖典です。イスラム教はコーランが聖典ですが、聖書も聖典であることには違いありません。しかしユダヤ教徒にとってコーランは、聖典になりません。
仏教に当てはめると、大乗仏教は、法華経や般若経などの大乗経典を基本経典にしながらも、テーラワーダ仏教で使われる初期仏教の経典も認めています。密教は、初期仏教経典、大乗仏教の経典も認めた上で、密教の経典を一番大切にします。逆にテーラワーダ仏教の立場からは、大乗仏教や密教の経典は、お釈迦さんの教えを変更したものですから、経典と認めるわけにはいきません。
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教と別宗教に分離していく西洋、中東世界に対して、内容が変わってもすべて仏教を名乗る東洋的アプローチの違いがあるように思われます。聖書も昔は、「ユダの福音書」などいろいろあったようですが、歴史の中で記述は統一されていき、異端と見なされるものは消されていきます。消された経典の中に真実があったかもしれませんが、消されていくことで教義としては単純化します。
仏教界では、いろんな人がいろんな経典を書き、それが統一されずにそのまま残っているような状況です。法華経や般若心経などの大乗経典の作者は全く不明ですが、すべて仏説(仏が説いた)と書かれています。仏教は神(絶対主)の存在を想定せず、誰のどんな教えでも、法に則っていればそれは仏の教えと考えるという性質があり、そのことが反映されているのかもしれません。しかし、いずれにせよ一般の人には分かりにくいだろうと思います。 【橋本 文隆 】
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インド仏教の展開
根本仏教時代
お釈迦さんは、紀元前4~5世紀頃、インド・ネパールあたりにシャカ族の王子として、母マーヤーから生まれました。
お釈迦さんの本名は、「ゴータマ・シッダールタ」と伝えられています。(ゴータマ族の成就者という意味で、後世名づけられたとも言われています。)
お釈迦さんは王子として何不自由なく裕福に暮らし、妻をめとってラーフラという息子もできますが、どんな裕福な暮らしも人生の苦悩からは逃れられないと思い、すべてを捨てて出家します。
(当時シャカ族は、国家ではなく共同体レベルの組織だったようです。王子といっても、それほど裕福ではなかったという説もあります。)
出家したお釈迦さんは、覚りを得てブッダ(仏陀)となります。ブッダとは「目覚めた人、覚りを得た人」という意味です。「仏」というのは、ブッダに漢字をあてて仏陀としたものの、頭文字を取ったものです。ですから、誰でも覚りを得れば、ブッダ(仏)になれるというのが、仏教の考え方で、天地を創ったり人を創ったりするような超越的な神は想定しません。仏教では、法(ダルマ)という言葉がよく使われます。法(ダルマ)を理解し、法(ダルマ)に従って生きるのが仏教だとも言えます。
部派仏教時代
お釈迦さんが亡くなると、高弟が集まって、お釈迦さんの教えを確認するようなことが何度か行われます。この中で、最初の経典がまとめられていきます。しかしその後100年もすると、教団は時代に応じて戒律を変えていこうとする革新派と戒律を守ろうとする保守派などに分裂していきます。分裂は繰り返され、二十ほどのグループに分裂していきます。このように多くの部派が競い合った時代を部派仏教時代といいます。
この時代にアショーカ王という王様が登場します。アショーカ王は戦に戦を重ねた後、仏教に帰依します。アショーカ王は、仏教を保護し、仏教の普及に大きな力を発揮しました。お釈迦さんの時代は新興の宗教や思想家が輩出した時代で、ジャイナ教を始め、仏教によく似た思想は他にもいろいろありました。その中で仏教だけが大きく勢力を伸ばせたのは、アショーカ王の働きによるところが大きいと言われています。
大乗仏教時代
大乗仏教がいつどのようにして誕生したのかは未だに不明ですが、紀元前後に初期大乗が出来たと考えられます。
『般若経』『法華経』『華厳経』『浄土三部経』など、日本で有名な経典は、この頃に誕生しています。
ここでは、菩薩という考え、自分の悟りよりも他人を救済する(自利よりも利他)が強調されるようになります。
その後、大乗仏教の超有名人、「ナーガルジュナ(龍樹、龍猛)」という人が現れ、『般若経』で説かれた「空」という思想をまとめ、中観派というグループの祖となります。
また、孫悟空で有名な三蔵法師(玄奘三蔵)につながる「唯識派」も誕生します。一説にはマイトレーヤ(弥勒)が「唯識派」の祖であると言われます。「唯識派」は、既にこの時代に深層心理(無意識)の働きを細かく説いています。
大乗仏教が発展したこの時代は、一方でヒンドゥー教が発展した時代でもあります。
後期大乗、密教時代
四世紀にグプタ王朝が成立してから以降、インドではヒンドゥー教が中心となっていきます。インドの国家は基本的に仏教も保護しましたが、国の中心となる宗教はヒンドゥー教であり、民衆の多くも仏教よりヒンドゥー教を求めるようになりました。
この時代、仏教はインドの伝統的な思想や行法を取り入れながら密教化していきます。しかしインドにおける仏教衰退の動きを止めることはできず、十三世紀には、インドから完全に姿を消してしまいます。
よく、仏教は密教化してヒンドゥー教と差がなくなり、そのために滅んでしまったと言う人がいますが、インドでは、部派仏教(小乗仏教)と大乗仏教と密教は、長い間共存して存在していたのです。仏教の衰退期においてさえ、部派仏教は存在したのですから、ヒンドゥー教と差がないということはないでしょう。
七世紀に三蔵法師(玄奘三蔵)がインドを訪れた時、既に仏教は衰退期に入り、密教も存在したのですが、玄奘の記録によれば、それでも部派仏教(小乗仏教)の寺院の数が一番多くなっています。したがって、仏教の密教化が衰退の原因とは考え難いでしょう。
では、数ある宗教の中でなぜ仏教だけがインドで滅んでしまったのか、その理由は未だによく分かりませんが、
一. 仏教の僧侶は、冠婚葬祭などの儀式に関わることが少なく、大衆を組織化することがなかった。
二. 元々仏教は、国家の保護の下、都市の商人を主な支援者としていたが、北インドの商業の衰退、
異民族の侵略などにより、国家や商人などの支持基盤が失われた。
三. 侵略された時、仏教の僧侶は戦うことを好まず、他の地へ移っていくため、残された民衆は他の宗教へ改宗していった。
などの理由が考えられるでしょう。
日本の仏教
日本に仏教を導入した第一人者は、かの有名な聖徳太子です。日本の仏教は中国経由で、漢文化されたものが中心なので、インド固有の思想とは異なってくるところがあります。
その後、奈良仏教が国家の保護のもと栄えていきます。南都六宗という六つの学派が有名です。
平安時代に入ると、最澄の天台宗と空海の真言宗が加わります。天台宗からは鎌倉仏教という多くの新興宗教が生まれます。
浄土教系の法然、親鸞、法華経系の日蓮、禅宗系の道元、栄西など、すべて天台宗の比叡山延暦寺で修行しています。
鎌倉仏教は日本に仏教を根付かせ、日本の文化にも大きな影響を与えていきます。
日本の仏教の始祖達は、それまでの仏典をただ正確に解釈するというより、それぞれ独自の思想で、新たな宗教を創造していくというダイナミックな動きが見られます。空海の密教の解釈も独特ですし、親鸞の宗教も他の仏教からは考えられないような独自の思想に彩られています。しかし、空海にせよ、親鸞にせよ、道元にせよ、それぞれが一流の思想にまで昇華してしまうところが、すごいところでしょう。
江戸時代に入ると、寺院は幕府の管轄下におかれ、住民(檀家)の登録・管理など行政機関の一翼を担うようになります。檀家制度は今も残っていますが、寺への登録を強制された江戸時代と異なり、自由に選択できる時代となり、寺院にとっては大きな問題となっています 【 橋本文隆 】
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密教とは何か?
密教は大乗仏教の中から生まれた仏教で、インドで広まり、中国を経て日本に伝えられました。大乗仏教がいつどのようにして発生したのか分からないように、密教もいつどのように発生したのか正確なことは分かりません。インド人には歴史を正確に記録するという習慣がないことと、十三世紀にインドでは仏教が滅び、多くの経典や記録が伝えられなくなったことにより、初期の仏教の様子は、断片的な情報(文献)により、推察するしかないのが現状です。
日本では、密教を歴史的に三分類して考えるのが一般的です。
一. 初期密教 呪文や呪術を使って現世利益を求めるような動きが見られます
二. 中期密教 日本に伝わった密教です。新たに起こった密教的な運動を、仏教の思想で統一し、体系化した時代です。
『大日経』と『金剛頂経』というお経を中心にまとめられました。(7C~8C前半頃)
三. 後期密教 チベットに伝わった密教です。成就法(瞑想法)が進化し、生理的ヨーガも積極的に取り入れられます。(8C後半以降)
密教は、大乗仏教と全く別物と考えるよりは、大乗仏教の教義を基にして、それに様々な修行法を加えて体系化したものと考えた方が、理解しやすいように思います。
密教では、それまでの仏教に比べて、今生きているこの世界(現世)での幸せを強く意識します。また、マントラ(真言:呪)を重視します。とはいえ、初期大乗仏教経典である般若心経の中にマントラ(真言)があるように、インド人にとってマントラ(真言)を使うことは、極めて一般的なことであり、密教固有のものとは言えないでしょう。
真言密教と真言宗
弘法大師空海が唐(中国)に渡り、805年に恵果和尚から密教を伝えられました。
816年には高野山に道場を開き、823年には東寺を賜って真言宗を確立しました。
中期密教である『大日経』と『金剛頂経』を基本経典とし、これを「両部の大経」などといいます。
空海は「今生きているこの世において幸せになる」という願いを実現する「即身成仏」の思想を掲げ、当時の国家仏教としての役割とともに、広く民衆の中に仏法を広めていったことでも有名です。
また空海は、水害に悩む人を助けるために、誰も成功しなかった満濃池という灌漑用溜池を作るなど、社会救済活動を行っています。また、身分に関わらず無料で学問を学べる「綜芸種智院」という私学を、世界で始めて設立しました。
これらの社会的な活動は、現世を重視する密教の性質をよく現しているといえるでしょう。
現在の真言宗は、弘法大師空海の教えを受け継ぎながら、時代に応じて様々な変化をしてきています。
真言宗には多くの宗派がありますが、大きく分けると、新義と古義になります。
新義は、平安後期に現れた覚鑁(かくばん)上人を中興の祖とする派で、豊山派や智山派などがあります。奈良の長谷寺、京都の智積院、成田山新勝寺、川崎大師などのお寺が有名です。
古義は、高野山派を始め多くの宗派があります。高野山金剛峯寺や京都の東寺、四国の善通寺など多くの本山があります。
現在の真言宗では、大師信仰の広がりとともに、「南無大師遍照金剛」のご宝号を唱えることが基本となっています。
四国八十八箇所の遍路では、弘法大師がいつも一緒におられるという「同行二人」の考え方を基本とし、「南無大師遍照金剛」のご宝号をお唱えします。「遍照金剛」とは、空海が恵果和尚から頂いた灌頂名であり、また真言密教の本尊である大日如来のことでもあります。
大師信仰は、弘法大師は今も生きておられるという入定信仰とともに、十世紀ころには既に始まっていると思われます。それは、天皇・貴族から一般大衆にまで、さらには対立する奈良仏教にまで幅広く慕われた空海の人徳の表れかもしれません。 【 橋本 文隆 】
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