空海とコミュニケーション心理学の比較思想研究
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項目 第4章技法編 「密教の技法」を開始しました。
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このブログでは、空海の思想と、グレゴリー・ベイトソンに始まるコミュニケーション心理学の、比較思想研究を発表していきます。
コミュニケーション心理学は、20世紀に発達した心理学のひとつです。
MRI、家族療法、SFA(ソリューション・フォーカスト・アプローチ)、可能性療法、NLP、ナラティブセラピー、システムズ・アプローチ、コンテキスト・モデル...などは、すべてグレゴリー・ベイトソンの流れを組むものであり、コミュニケーション心理学のひとつと考えることができます。
コミュニケーション心理学の理論は、コミュニケーション語用論を基本としており、20世紀最大の哲学者とも言われる「ウィトゲンシュタイン」や「ラッセル」などの思想的影響が見られます。
一方、平安時代初期に誕生した空海の思想は、インドの密教的思想、中国の思想、日本古来からの思想などを統合する壮大な体系となっています。
空海の成仏(覚り)観を端的に現した書が、『即身成仏義』『声字実相義』『吽字義』の三部書と言われるものです。
『声字実相義』というタイトルからも分るように、空海は「声」と「文字」すなわち「ことば」がこの世界の真実の様相を示すと考えていたのであり、それは、ウィトゲンシュタインなどの言語哲学にも通じる思想になるのです。
このように、コミュニケーション語用論を理論的基盤とするコミュニケーション心理学と、「ことば」によって真実を現す空海の思想は、共通するところが数多くあり、その比較検討は、東洋と西洋の思想的研究として興味のつきないところがあります。
このブログでは、学問的正確性に留意しながらも、仏教やコミュニケーション論、心理学などの専門でない方にも理解できるように、基本から解説していくようにしていきます。
このブログは、以下の方々にとって、有益なものであると考えています。
●仏教・密教を一宗教ではなく、思想として現代に活かしたいと考えている人々
●仏教・密教と心理療法を、理論的に統合したい人々
●NLP、SFA、ナラティブ、家族療法などの心理療法を、生と死やスピリチュアリティなどの観点まで広げて活用したい人々
------ ブログの主な内容 ------
空海とコミュニケーション心理学
~NLP・SFA・ナラティブと密教 ~
第2章 歴史編
1.密教の誕生
初期仏教時代
南伝仏教(テーラワーダ仏教)
空海の密教
2.ブリーフセラピー(短期療法)の誕生
第3章 思想編
Ⅰ.真言密教の思想
1.密教の特徴
2.密教の思想
3.空海の独自思想
『即身成仏義』
『声字実相義』
『吽字義(うんじぎ)』
現代思想から見た空海
Ⅱ.ブリーフセラピー(コミュニケーション心理学)の思想
コンテキスト
ダブルバインド
コミュニケーションの公理
精神というシステム
社会構成主義
Ⅲ.空海とブリーフセラピーの思想
1.空とコンテキスト
2.空海とコミュニケーション論
第4章 技法編
Ⅰ.密教の技法 - 心理療法の観点から
1.三密加持
2.阿字観(阿息観、月輪観、阿字観)
3.遍路・参拝
4.加持祈祷
Ⅱ.ブリーフセラピーの技法 - 密教の観点から
1.システムズ・アプローチ
2. リフレーミング
3.ソリューショントーク(解決に関する会話)
4.外在化
5.モデリング
第5章 生と死とコミュニケーション心理学
1.自己実現とトランスパーソナル
2.スピリチュアリティ
3.スピリチュアリティへの支援
4.スピリチュアリティと共生
5.十住心論とコミュニケーション論
6.認識の変化と成長(ベイトソンの学習論)
7.仏教修行とダブルバインド
8.支援者のあり方
おわりに
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