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第3章思想編 真言密教の思想 2

1.密教の特徴

大日如来(毘盧遮那仏)~教主の交代
 一般的に仏教の経典は、仏陀(お釈迦さま)の教えであると記述されています。紀元後に作成された大乗経典であっても、仏陀が説かれた教えとして記述されているのです。
 しかし『大日経』『金剛頂経』では、大日如来(毘盧遮那仏)が教えを説いたことになっています。法を説く主体(教主)が仏陀から大日如来に変更されており、ここにそれまでの仏教と密教との大きな違いがあります。

 大日如来は、(マハー)ヴァイローチャナという言葉の意味から訳したもので、毘盧遮那(びるしゃな)は、ヴァイローチャナという音から訳したものです。仏陀は歴史上実在した人物ですが、大日如来は実在の人物ではありません。仏教の法(教え、真理)そのものを仏として現したものなのです。(これを法身(ほつしん)といいます。)
 つまりそれまでの仏教経典が、歴史的に仏陀が説いたこと、あるいは歴史的事実としては仏陀が説いていなくても、説いたという想定のもとに書かれているのに対して、『大日経』や『金剛頂経』は、歴史的事実ではなく、法(真理)そのものを記述しようとしているわけです。
 密教では、仏陀は真理の法を覚った人ではあるが、仏陀が出現してもしなくても、法(真理)そのものは存在すると考え、それを大日如来として現すのです。

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