第3章思想編 真言密教の思想 3
曼荼羅(マンダラ)
曼荼羅は、元来、儀礼の際に一時的に土壇を設け,その上に粉や砂を用いて作成されていたものです。現在でもチベット仏教では、砂マンダラを作成し、儀礼が終わると全て壊してしまう様を見ることができます。美しい砂マンダラが崩されていく様子は、仏教の基本思想である無常を感じさせるものがあります。
しかし中国や日本では、掛け軸に図画する形式のものが一般的となり、仏教美術としても貴重なものとなっています。
曼荼羅は心の世界を現したものであり、様々な仏が描かれています。本来は心に仏を観るものだったのでしょうが、その観想を象徴を使って表現すると曼荼羅となります。曼荼羅が仏の心そのものを現しているとするならば、それは即ち仏法(真理)そのものを意味することになります。つまり曼荼羅は、密教における法(真理)そのものを表現していることになるわけです。
古来よりさまざまな曼荼羅が作成されてきましたが、真言密教では『大日経』に基づく胎臓生曼荼羅と、『金剛頂経』に基づく金剛界曼荼羅が中心となります。密教の経典とは、法(真理)そのものを現したものですから、密教経典は曼荼羅の記述であると考えることができます。
密教では法の伝授などを灌頂という儀式を通じて行いますが、曼荼羅はそのような儀式において使用される他、祈りや観想(瞑想)の対象としても使用されています。
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