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第3章思想編 空海の独自思想 2

「四種曼荼各離れず」

 四種曼荼(ししゅまんだ)とは、大曼荼羅、三昧耶(さんまや)曼荼羅、法曼荼羅、羯磨(かつま)曼荼羅の四種類の曼荼羅を意味します。

 大曼荼羅とは、仏や菩薩の姿形、形像を現した曼荼羅です。この世界そのもの、森羅万象を、いわば象徴的に現したものになります。
 三昧耶曼荼羅とは、諸尊を象徴する種々の持物や印相を備えた曼荼羅です。刀剣や輪宝、金剛杵(こんごうしょ)、鈴(れい)などの持物があります。これは、仏の意(心)、仏の本誓、誓願を現していると考えられます。
 法曼荼羅は、諸尊の種字真言を備えた曼荼羅です。種字真言は、インドの梵字一字でもって、仏を現したものです。種字は仏の言葉であり、仏の法(世界そのもの)を現す言語になります。空海は、文字が仏の言葉として世界そのものを現すという思想を『声字実相義』のなかで述べています。
 羯磨曼荼羅は、諸尊の行為や作用を示す曼荼羅です。鋳像を並べた立体曼荼羅も羯磨曼荼羅と呼ばれます。一切事物の活動・作用を現したもので、仏の活動(身)の象徴であると考えられます。

 つまり、大曼荼羅は世界全体を現し、それを意(心)、口(語、言語)、身(活動)の3つの観点から現したものが、三昧耶曼荼羅、法曼荼羅、羯磨曼荼羅になるわけです。

 この世界を構成する六大が無碍瑜伽であるならば、当然種々の曼荼羅もまた互いにさまたげることなく渉入し合う無碍瑜伽なる存在となります。
 ここでは、大曼荼羅、三昧耶曼荼羅、法曼荼羅、羯磨曼荼羅の四種の曼荼羅が、その数無量であり、ひとつひとつの大きさは虚空に等しいと述べられています。そして各々の曼荼羅は、互いに関連しあい離れることがなく、世界の真実の様相(姿)を表しているのです。

 空海は、このように離れることがないということを、「即」の意味であるとします。

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